RSNが2023年電話相談事業報告書、電話相談件数は昨年1年間で3,216件
遊技通信2024年5月7日
ぱちんこ依存問題の電話相談機関、リカバリーサポート・ネットワーク(RSN・西村直之代表)がこのほどまとめた2023年における電話相談事業の報告書によると、昨年1年間にRSNで受けた電話相談は3,216件で前年から279件増えた。
報告書では、パチンコ・パチスロプレイヤーがコロナ禍前の日常生活に戻りつつあること、また昨年5月からのRSN相談部の人員増などの相談体制の強化によって対応件数が増加したことが、相談件数の増加につながったと推測している。2006年4月の開設からの累計相談件数は4万9,472件になった。
2023年に受けた初回相談1,025件の紹介先のうち、最も多かったのは医療機関(主治医戻しを含む)が144件(14%)、次いで精神保健福祉センターが87件(8%)、ギャンブラーズ・アノニマス(GA)が56件(5%)、RSN対面相談会が13件(1%)という結果になった。新型コロナの影響でGAのグループミーティングの休止があったこと、また行動制限緩和後も外出や人の輪の中に入るのに抵抗がある相談者も多く、GAの紹介件数は新型コロナ感染症の流行前より少ない状態が続いているとしている。
相談者の関係性の内訳は、問題を感じた本人からの電話が902件(88%)。本人からの相談が8割以上になっているのは電話相談開始以来のことで、これはRSNの電話相談の特徴のひとつとしている。相談経路は、ホール内に貼付されたポスターが539件(53%)、インターネット233件(23%)の順。遊技産業の自主的取組みの推進により、ホールによる新聞への折込チラシやホールに設置された遊び方説明の小冊子、依存問題について啓発するリーフレットといった配布物、安心パチンコ・パチスロアドバイザー(ホールスタッフ)による啓発協力などホールに関連した経路は多様化し、それらが広報・啓発に効果を上げていることがうかがわれるとした。
また、2016年5月から認定NPO法人ワンデーポートと共催事業として行っている対面相談では、1年間で67件の個別相談を受けた。家族相談では、金銭的な問題が相談の動機となることがほとんどであるため、ギャンブリング問題と債務問題の両方に精通する司法書士と精神保健の専門職がこれに対応。オンラインを希望する相談者に対してはオンライン相談も実施した。
2023年報告書の発刊にあたってRSNの西村直之代表は、「時代の変化、時代の潮流に合わせた負の影響への対策とその展開に向けて、加速していかなければならない時期に来ていると危機感を感じている。本当に必要とされているのは、より効果的で有効性のある予防対策だと考えている。そのためにも今起きている問題、対策の課題をしっかりと把握しておくことが重要。よりよい予防対策とより質の高い相談支援の提供、この軸の異なる課題に取組み続けることがRSNの使命であると考えている」としている。