【別冊GREENBELT|WEB版】トレンド設備・システム・サービス大特集 ─ 再成長への道筋 ─
グリーンべると2026年5月20日
再成長への道筋
業界は今、長く続いた厳しい縮小期を乗り越え、新たな局面を迎えている。本別冊では、業界動向に詳しい識者へのインタビューを基に、2026年以降の市場や遊技機環境などの変化を整理。その潮流を踏まえ、「業務改善」「稼動促進」「環境改善」の分野でホールの経営・営業を支える最新の設備・システム・サービスを網羅する。「守り」から「攻め」へ。次なる再成長に向けて、いまホールとして取り組むべきことは必ずあるはずだ。変化をチャンスに変え、次なるステージへ進むための戦略的指針として、本誌を活用してほしい。
全国のホール数は依然として減少傾向にあるが、その歩みは確実に変わりつつある。2025年末時点の店舗数は前年比242軒減の6464軒。減少幅は縮小しており、長く続いた市場の縮小にもようやく「底打ち感」が見え始めた。
業界は過去10年を振り返っても、2018年の規則改正やコロナ禍、そして新紙幣対応といった、数々の荒波を乗り越えてきた。厳しい環境下で生き残ってきたホールにも今、明確な「差」が生まれ始めている。それは、現状を維持するだけの「守りの合理化」から、自らの手で未来を切り拓く「攻めの再成長」へと舵を切ったかどうかだ。
2026年、業界は新たな局面を迎える。導入2年目となるLT3・0やBT搭載機の動向に加え、ホール4団体が主導する新集客施策「推しの日」のプレテストなど、新たな展開が本格化する。政治面では木村義雄参議院議員による風営法の課題改善への動きが追い風だ。
今後はパチスロ人気のなかBTが新ジャンルとして定着するか、キャッシュレス決済がどこまで普及するかが焦点となる。一方で、厚労省による加熱式たばこ規制の動向は営業戦略に直結するため、官民両面の動きから目が離せない。
2027年のホール営業をどう見る?
【INTERVIEW】中嶋優 株式会社エーゼットエンターテインメント 代表取締役
再プレー手数料導入はホール選びの転換点
──今年の夏以降、ホール営業上で注目しているポイントは?
貯玉再プレー手数料の導入です。北海道で5月から8・7%程度でスタートするほか、全国的に広がっていきます。これを集客チャンスとして捉えるか否かで、この夏以降の営業に大きな差が生まれると思っています。
──集客チャンスになりうると?
地域一斉での手数料導入のタイミングは、お客様にとってホール選びを見直す瞬間でもあります。先行店舗の事例では、実施前に「手数料で得た収益は全て還元する」と徹底告知することで、クレームはほぼゼロでした。しかも貯玉利用の売上が1・3倍になったケースもあります。
──導入にあたって注意点は?
一斉導入だからこそ、何も考えずに横並びでやるだけのホールと、還元の中身まで設計したホールとでは差がつきます。還元の設計や丁寧な告知に、どれだけ労力と人手を割けるかがポイントではないでしょうか。
──その人手ですが、不足している状態が続いています。
アルバイトの定着率は下がり続け、店長などベテラン社員への業務集中が常態化しています。同じ県内の大手チェーンでも、店舗間でサービス品質にばらつきが出てきているのが現実です。
──効果的な対策方法は?
役割の明確化です。店長が何でも抱え込む体制をやめ、パチンコ担当、パチスロ担当、数値管理担当と細分化する。それだけで現場が回り始めたケースがあります。
──限られた人材を有効に使うという意味で、省力化はどう位置づけられますか。
役割分担で人を適切に配置しても、一人ひとりの業務負担が重いままでは限界があります。そこで重要になるのが省力化です。特にデータ分析にかけている時間は、今すぐ圧縮できる余地が大きい。AIを使えば以前なら数時間かかっていた作業が大幅に短縮できます。
ただし、それは「楽をするため」ではありません。省力化で生み出した時間を、現場の観察や他店舗の研究、新しいサービスの企画などに充ててこそ、初めて価値が生まれます。やりたいこと(やるべきこと)を先に決め、その必要性をエビデンスで裏付けながら実行していく、省力化は、その理想のサイクルを実現するための手段ではないでしょうか。
【INTERVIEW】中田藤生 株式会社PRC 代表取締役
「投資」と「発信」が再成長への道筋
──現在のホールを取り巻く経営環境をどう捉えていますか?
パチンコが厳しくパチスロが好調というトレンドはありますが、マクロ的に見れば、業界の市場は大きく伸びてもいなければ、極端に減少もしていない、いわば「踊り場局面」が継続しています。その内実は、限られたパイの食い合いによって、成長を続ける店舗と衰退する店舗の格差が広がっているのが現状です。
──生き残る店とそうでない店の決定的な違いはどこにあるのでしょうか。
一言で言えば「現状認識の甘さ」と「経営方針の有無」です。市場が変わらない中でも何もしなければ他店に客が流れるのは必然です。中小であれば大手チェーン店を模倣するのではなく、自分たちがどうありたいか、という明確な方針を据え、丁寧に現状を分析しているかどうかが差となって現れています。
■パチンコ推移予測(2027年3月まで)
■パチスロ推移予測(2027年3月まで)
──「再成長」に向けて、まず何に取り組むべきでしょうか?
まずは固定費を下げて売上を上げ、それを遊技機や出玉、そして設備へとスピーディに再投資する循環を作ることです。これまでの「コスト削減型の合理化」から脱却し、「再成長に向けた投資」へと舵を切る事が重要です。
──投資において失敗しやすいポイントはありますか?
投資そのものが目的化してしまうことです。「何のためにその投資をするのか」という目的を明確に持ち、その想いをファンに丁寧に発信してくことが重要です。設備を導入して終わりではなく、その導入意図や機能を伝えることを意識しましょう。
──最後に、業界が再成長していくために必要な視点を一言でお願いします。
「丁寧な経営」に尽きます。雑な現状認識を捨て、設備やシステム投資を通じてお客様にどのような価値を提供したいのか。その想いを愚直に伝え続けることが、5年後、10年後も生き残るホールの姿だと思います。
業務改善・稼動促進・環境改善による
ホール再成長への「三位一体改革」
幾多の転換点、難局を乗り越え、様々な状況に適応し、営業を継続してきた現在のホール。一方で、業界は物価高騰によるコスト増に加え、M&Aの活発化に伴う規模の二極化といった新たな構造的課題に直面している。こうした荒波のなかで、もはや目指すべきは、かつての水準への「回復」ではない。今、ホール経営に求められているのは、新たな成長曲線を描くための「再成長」である。その鍵を握るのが、「業務改善」「稼動促進」「環境改善」という三つの領域を横断的に再設計することだ。設備、システム、そしてサービスの進化は、ホール経営の質そのものを引き上げる役割を担っている。
■CATEGORY①|業務改善
機械やシステムに任せられる時代
深刻な人手不足とコスト上昇が常態化するホールにおいて、従来の人的依存型オペレーションの維持は、もはや限界を迎えている。再成長の基盤となるのは、デジタル技術と最新設備を駆使した徹底的な効率化である。
昨今、あらゆる産業で革新をもたらしているAI技術の進化は、業界にも着実に及んでいる。AIを活用した会員分析や利益予測、設定配分の最適化などは、従来店長の経験や勘に頼っていた業務の精度を高めると同時に、大幅な省力化を可能にした。データに基づいた客観的な判断は、ミスの低減だけでなく、攻めの経営判断を支える礎となる。
カウンター業務やバックヤードの効率化も急務である。特にセルフ化による業務改善は、効率化だけでなく、スタッフの肉体的・精神的な負担を軽減し、さらには人的ミスによるリスクの排除や、管理コストの抑制という面でも大きな成果を上げている。
さらに、ホール運営で最も労力を要する「遊技機の入替作業」にも変革が及んでいる。スマート遊技機の普及により、島設備の構造が簡略化された。これにより、これまで多大な時間と人員を要していた入替作業の内製化や大幅な時間短縮が可能となっている。また、最新の紙幣搬送システムやデジタル管理ツールの導入により、現金回収や入替に伴う書類作成業務の手間も削減され、スタッフは「重労働」から解放されつつある。
マースエンジニアリング
クラウド型総合管理システム『エヴォールクラウド』
北電子
シミュレーション総合サービス『T-OPs(トプス)』
北電子×グローリーナスカ
『アクティブ連携』
グローリーナスカ
コンパクト賞品保管機『JK-C500』
東和
セルフ式景品交換システム『新型DigiCo Selfy(SPE-300)』
大都販売
スマート遊技機PS完全共通島『SMART楽の介』
スマート遊技機PS互換島『switch Pro』
ニューギン・アドバンス
スマート遊技機専用島『セルフリムーヴ』
京楽
スマート遊技機互換島『FLEXIBLE(フレキシブル)』
エース電研
次世代紙幣搬送『ビルストリーム事務所搬送』
スリーストン
効率化作業計画自動作成ツール『入替プランナー』
新型パチンコ台取付機『どんぴしゃパーフェクト』
ITC
ホール経営基幹システム『Compass(コンパス)』
イージス
変更承認申請書等作成/在庫管理システム『es4』
■CATEGORY②|稼動促進
来店動機の創出と顧客体験の設計
遊技機性能だけでは差別化が難しくなった現在、いかにして来店動機を創出し、継続的な来店につなげるかが問われている。
まず自店のターゲットを明確にし、顧客ニーズを大局的に捉えることが前提となる。その上で、WEB広告やSNSを活用した情報発信により、来店前の接点を強化することが重要となる。特にデジタルチャネル(スマホを通じたお客様との接点)は、タイムリーかつ効率的に情報を届ける手段として有効であり、戦略的な活用が求められる。
また、全国規模の膨大なデータとAIの融合により、リアルタイムな稼動把握や精緻な予測が可能になっている。こうしたデータに基づいた適切な運用方針や販促タイミングの決定は、稼動を最大化させる強力な武器になる。
店舗内においても装飾や演出による“賑わい感”の創出が、遊技客の体感価値を高める要素となる。視覚的なワクワク感は、滞在の満足度を向上させるだろう。
グローリーナスカ
集客促進ツール『AIスランプウォッチャー』
データ分析Webサービス『遊動’s EYE』
ダイコク電機
パチンコホール向け情報提供サービス『DK-SIS INFINITY』
台毎液晶端末『BiGMO XCEL』
SANKYO
3Dディスプレイ『Future View 3D』
CCG ENTERTAINMENT
アプリデータ活用の広告配信サービス『アプログ』
オーイズミ
スマスロ・スマパチ専用ICカードユニット『WICAⅡ』
SANTAC
スマート遊技機専用iクリアシステム貸機『PRINAGE-Rs(プライネージ・アールエス)』
ヴィオーラ
LED演出ツール『防水型LEDシームレスモール』
島上LED演出ツール『FLOWING LIGHTⅡ』
出玉演出ツール『3Dデコレーションプレート』
『スプリング型USBケーブルtypeS』
■CATEGORY③|環境改善
分煙環境の向上とスマホ環境の充実
ホールにおける快適性は、依然として来店動機の重要な構成要素である。
特に喫煙ユーザーにとっては、喫煙室が適切な場所に配置されているかどうかも居心地を左右する重要なポイントとなる。そして、喫煙・分煙環境を含めた清潔感のある空間づくりは、単なる「見た目の良さ」という表面的な価値にとどまらず、心理的な安心感とリラックス効果をもたらし、結果として長時間の滞在をストレスのないものにする。
近年はスマートフォン利用を前提とした環境整備も無視できない。充電設備の設置や通信環境の充実はもちろん、遊技中に撮影した動画をSNSで共有するユーザーも増えており、こうした行動を支える環境づくりは、店内の熱量を外部へ拡散させる「新たな集客導線」の創出にもつながる。
「業務改善」によって経営基盤を盤石にし、「稼動促進」によって売上機会を最大化し、「環境改善」によって顧客満足をさらに高める。これら三つの要素を実行する力こそが、次の再成長を果たすための王道だ。
J.G.コーポレーション
パーソナル喫煙スペース『Solo Smoke(ソロスモーク)』
ジー・スリー
次世代スマホホルダー『ビートル』
喫煙専用室『どこでも喫煙ブース(1人用)』
喫煙スペース用灰皿『消煙灰皿』