パチンコの稼働にやや回復の兆し、遊技機の購入意欲はパチンコ、パチスロとも上昇
グリーンべると2025年7月17日
シーズリサーチは7月17日、「第101回 パチンコ景気動向指数(DI)調査」の結果を公表した。この調査は、パチンコホールの経営状況を定期的に測定するもので、6月12日から30日にかけて実施され、全国50社・74地域のホール企業から回答を得た。
今回の調査では、過去1ヵ月の収益・売上・粗利などを踏まえた「全般的業況」が5.4ポイント(前回比0.5ポイント上昇)と、引き続きプラス圏を維持。3ヵ月後の見通しも4.1ポイントと大きな変動は見込まれていない。業況の改善理由としては「来店客数の増加」「顧客単価の上昇」がそれぞれ4割を占めた。
稼働状況に関しては、パチンコが▲35.6ポイント(同12.5ポイント改善)と引き続きマイナス圏ながらも2期連続の回復。パチスロは24.3ポイント(同9.0ポイント低下)と依然プラスを維持しているが、3ヵ月後は14.9ポイントまで下落する見通しである。
遊技料金別では、4円パチンコが▲65.8ポイント(同3.3ポイント悪化)と厳しい状況が続いているものの、3ヵ月後には▲49.3ポイントまで改善する見通しだ。低貸玉パチンコは▲5.4ポイント(同4.5ポイント改善)、20円パチスロは16.2ポイント(同8.5ポイント低下)、低貸メダルパチスロは29.9ポイント(同2.6ポイント低下)であった。
今後3ヵ月間の遊技機購入費(購入意欲)では、「パチンコ新台」が▲4.2ポイント(同21.8ポイント上昇)と前回から大幅に回復。「パチスロ新台」は10.2ポイント(同3.9ポイント上昇)と堅調に推移している。中古機市場でも、パチンコ中古機は6.1ポイント(同8.1ポイント上昇)、パチスロ中古機は16.3ポイント(同12.2ポイント上昇)と、すべてのカテゴリーで上昇が見られた。
調査対象企業からは、現状に対する率直な声や、今後に向けた懸念も多く寄せられた。
ある中国地方の小規模事業者は、「日頃から経費節減を行っているなかで、来店客数の増加により収益は向上している。収益のさらなる改善のために話題の新台も導入したいが、メーカーの抱き合わせ販売がひどすぎるため、購買意欲はなくなっている。エンドユーザーのことを真剣に考えるなら、メーカーもパチンコ店も違った考え方を持つべきではないかと思う」とコメント。
中部の小規模事業者からは、「『遊技機購入費が高くても、良い機種だから稼働貢献によってパチンコ店に利益をもたらす』と豪語していたメーカーもあったが、そのメーカー直営店は閉店していた。『実るほど首を垂れる稲穂かな』という言葉がよぎった。『備蓄米』を買うために行列ができるご時世に、パチンコは大衆娯楽なのか考えさせられる」との厳しい声もあった。
また、設備投資や規制についての不安も多い。関東の小規模事業者は「この先も設備投資が見込まれるため、必要のない規制強化は業界をあげて避けてほしい」と要望。別の中部の中規模事業者は「パチンコ業界は遊技機頼みなので、良い遊技機が販売されることを願っている」と、開発側への期待もにじませた。
今後の市場動向については、「4円パチンコの厳しさと設備投資の費用が経営を圧迫している」(関東・大規模事業者)、「自社のスマート遊技機の設置比率が全体で半分にも満たないため、設備投資はまだまだかかる。それにともなって、閉店する店舗も増えてくる見込みである」(中国・大規模事業者)といった声が続いた。
さらに、ラッキートリガー3.0プラスに対する期待と懸念も混在している。「ラッキートリガー3.0プラス登場以降の変化に、いち早く対応することが必要だと考えている」(関東・小規模事業者)という意見に対し、近畿の大規模事業者は「店舗の運用次第によるものが大きく、過度な期待は持ちづらいというのが率直な感想」と述べている。
こうした現場の声からは、回復の兆しとともに、先行きに対する根深い不安や構造的課題が浮き彫りになっている。