ダイコク電機が「DK-SIS白書2025年版 -2024年データ-」刊行記者発表会、業界の市場規模を“業界総粗利”でみる必要性を強調
遊技通信2025年7月16日
ダイコク電機は7月14日、東京・水道橋の東京ドームホテルで「DK-SIS白書2025年版 -2024年データ-」の刊行記者発表会を開催した。
「DK-SIS白書」は、業界に関わる前年度の出来事を同社ビッグデータ「DK-SIS」とともに振り返る業界唯一のデータブック。創刊から22冊目となるが、市場の総設置台数に対するDK-SISの保有データ規模は42.1%(前年41.1%)になった。
冒頭に栢森雅勝代表取締役社長が「昨年は店舗数の減少が下げ止まらない中でも、業界総粗利は前年比で増加し、スマスロ・スマパチ含め市場の1/3がスマート遊技機になっているという見方もできる。これから先の物事を昨年の変化からどう捉えていくか、気付きのきっかけになればと思っている」と挨拶し、本書の内容については同社のMG推進部 SISプロフェッショナル・首席講師の片瀬宏之氏が解説した。
業界は縮小していない、市場規模は“粗利規模”でみるべき
同書発表による2024年の業界総売上は16.2兆円(対前年0.5兆円増)、業界総粗利は2.54兆円(対前年同値)。業界総売上は2年連続で増加し、業界総粗利は横ばいでも遊技機利益は1.84兆円(対前年0.10兆円増)と昨年を上回った。業界は店舗数や設置台数の減少などで縮小傾向にあるとされているが、「業界の市場規模は、売上規模・粗利規模なくして言及できないと思う。ビッグデータで見る業界は明確な回復傾向にある」とした。
なお、このうち遊技機利益の増加については、2024年の遊技機購入比率が27.6%(対前年3.9ポイント減)と30%を下回り、新台に頼る営業が大きく変化したことによるとした。
業界史上初めて20円パチスロの台数が4円パチンコを上回る
2024年は4円パチンコのアウトは10,720個(対前年190個減)と過去最低を更新した。売上20,779円と粗利3,295円は前年を下回らなかったが、遊技時間粗利は1,490円(対前年50円増)。アウトの下落要因は、遊技時間粗利の上昇にあるとして、「遊技時間粗利は今後も下げることが難しいと考えられるため、このままではさらなるアウトの下落が予想される。2025年上期のアウトは10,710個とすでに昨年を下回り、遊技時間粗利は1,530円まで上昇。2025年のアウトも厳しくなることが予想されるが、下期はLT3.0プラスが登場し、ホールの活用によっては今後の変化が期待できる」と解説した。
一方、20円パチスロは業績向上が継続し、アウト8,616枚(対前年579枚増)、売上24,119円(同2,750円増)、粗利3,034円(同152円増)、遊技時間は3時間43分(同13分増)となった。4円パチンコの遊技時間(2時間12分)は20円パチスロの60%以下となり、遊技機総設置台数に占める台数シェアは、4円パチンコが33.1%、20円パチスロが35.5%。4円パチンコを減らして20円パチスロを増やす動きに拍車がかかり、業界史上初めて20円パチスロの台数シェアが4円パチンコを上回った。このことが2024年の最も大きなトピックだとした。
スマスロシェアは50%超、スマパチ導入ペースは伸び悩む
2024年12月末時点のパチスロ内のスマパチ導入比率は50.1%、一方、パチンコ内のスマパチ導入比率は11.4%。スマパチの導入ペースが伸び悩んだ要因として「登場機種数がそれほどなく販売台数もパチンコ78万台のうちスマパチは18万台。好調なパチスロに投資が向かった上にスマパチの設置機種内での入替になったこと」を挙げた。
ただし、2025年6月のスマパチ導入比率は54.7%。7月からLT3.0プラスの登場、またパチスロ新台機種数が減少している影響から「スマパチが台数シェアを伸ばす可能性がある」とした。
パチンコ・パチスロとも遊技機の高出玉性能化が進む
2024年の4円パチンコ(ハイ・ハイミドル合算)は玉単価、遊技時間売上、平均推測最大MYが前年を上回り、売上・出玉性能の上昇傾向が続いているが、「時間あたりの消費金額・消費スピードの上昇を抑える機種もなければパチンコの業績回復が見込めない。LT3.0プラスも含めて様々な遊技機の登場を望みたい」とした。
一方、20円パチスロ(AT系タイプ合算)もコイン単価、遊技時間売上、モード1実績最大MY平均が前年比で上昇。「コイン単価2.8円を超えると市場全体のアウトが下落する傾向がある。20円パチスロはバランスを考えた機種構成が今後の業績につながる」と説明した。
また、4円パチンコのタイプ別業績では、ハイ・ライトミドルの業績が伸びた一方、最も台数シェアの多いハイミドルの業績が大幅に下落。機種貢献ではハイ・ライトミドル(主にLT機)のデータが良化しているが、2025年に入ってライトミドルの短命化の傾向が顕著になっているとした。
一方、20円パチスロのタイプ別業績では、ATタイプの業績が昨年に引き続き向上。ただしATタイプ内のスマスロシェアが2024年は81%になり、残存するメダル機は稼働貢献が継続しているものが多いため、2025年はスマスロシェアの増加による業績向上は望めないとした。
なお、記者発表会後は懇談会が行われ、実態に近いファン参加人数の提供についての可能性も提案した。令和7年7月7日(平日)のファン参加人数を同社の商圏分析サービス「Market-SIS」や顔認証システム「Fan-SIS」で検証すると270万人だったとして、この数値は平日にもかかわらず巷間言われる参加人口の4割強となる。この是非も含め、このほどリリースした新サービス「サイトセブンFAN+(ファンタス)」などによって今後はファンの行動データの集約化が見込めるとして、業界の現状や課題に対して少しでも実態に近いデータを提供していきたい意向を示した。