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スポーツ習慣を日本に根づかせたい アミューズメントジャパン2024年3月28日

INTERVIEW
フィットイージー
中森勇樹 COO取締役副社長

「アミューズメント」をコンセプトにしたフィットネスクラブを展開するフィットイージーは2018年7月に創業し、わずか5年で140を超える店舗をスピード出店してきた。中森勇樹副社長に躍進の理由を聞いた。

──フィットネスの市場の現状について教えていただけますか?
中森副社長(以下:敬称略) 2022年の調査では、日本人のフィットネス参加率は3・68%。欧米諸国は15%~20%ですから、日本の参加率は非常に低いのが現状です。一方で、日本の成人を対象にした調査では、80%が「運動不足を感じている」という結果が出ています。運動したいというニーズは高いが、運動できる場所が少ない状況です。今後伸びていく市場、違った言い方をすれば、伸ばしていかなくてはならない市場だと言えます。

──「伸ばしていかなくてはならない」というと?
中森 最近、厚労省が「健康づくりのための身体活動・運動ガイド」を改訂しました。そこで「1日60分以上」の歩行、「週2~3回」の筋トレを推奨しているように、運動と健康との相関が非常に高いことが分かります。直近で言えば、コロナ禍のとき、成人病を含めて持病を持っている人の感染リスクが高い、ということが証明されました。政府もスポーツによって健康面で得られる対価が非常に高いということが分かっているし、一定の公共施設は提供しています。しかし、運動を手軽に提供する場は、まだまだ少ない。私どもは「運動を通して地域を健康にする」ということを理念の一つに掲げています。フィットネスの面白さを伝えて参加者を増やし、結果的に健康で生きがいを感じられる人を増やしていくことが、今後の我々に課せられたミッションだと思っております。

──日本のフィットネス参加者が少ないのは何か理由があるのでしょうか?
中森 大きな理由は、日本にフィットネス文化が根付いていないことだと思います。欧米ではスポーツを「健康であるため」「楽しむため」「自分の人生を充実させるため」と位置づけています。歴史的な問題が背景にあると思うのですが、日本では「競技で勝つため」にストイックに自分を追い込むもの、忍耐や我慢が必要なもの、というイメージが根強い。これからの日本では「運動を楽しみながら健康になる」という発想が重要です。フィットイージーは「五感で楽しむフィットネスクラブ」をキーワードに、マシン選定からデザイン、空間づくりにこだわっています。

「サードプレイス」としての役割も

──貴社の概要を教えてください。
中森 2018年7月に創業して、現在は全国に140店舗(2023年12月現在)を出店しています。直営店は約30店舗、FCが約110店舗。「アミューズメントフィットネスクラブ」をコンセプトにジム、スタジオ、ゴルフ、サウナ、エステ、コワーキングスペース、高濃度酸素ルームという7アイテムをベースアイテムとしています。基本料金ですべて利用できること、そして会員であれば全国どの店舗も利用できる24時間ジムです。こうした特徴はオンリーワンのものだと自負しています。

──フィットネスにコワーキングスペースというのは珍しいですね。
中森 フィットイージーは「楽しみながら目標達成、自己実現をする場」ですから、来る人は前向きな気、プラスのオーラを発しています。実際、フィットイージーで勉強や仕事をするとはかどる、という声をお聞きします。もうひとつは、海外ではゴルフクラブやフィットネスなどが地域の居場所になっていますが、日本ではそうしたサードプレイスが少ないので、我々がその役割を果たしていけるのではと考えています。

──FCの収益モデルと本部のサポート体制について教えていただけますか?
中森 基本的にイニシャルコストが1億円。利回り換算では年15~20%が実績値です。収益性が高いケースでは30%を超えます。オーナーさんにやっていただくことは、出資していただくこと、採用したスタッフをマネジメントしていただくこと、この2つです。あとは物件選定から内外装手配、マシン選定、研修・教育、その後のプロモーションまで本部で行います。

──収益面でも魅力的な事業ですね。
中森 投資回収が非常に早いので、一つの企業さんが1年間で5店舗出店するというケースも出てきています。昨年だけで3法人ありましたし、既存店が1年以内に次の店舗を出したいというケースは増えています。ただし、投資目線だけで出店を希望される方はお断りしています。地域の文化を守りたい、地域の役に立ちたいという理念が根本にある企業さんとアライアンスを組ませていただいています。

──このビジネスを成功させるために重要なことは何でしょうか?
中森 時代の変化に合わせて変化・進化を続けていくことです。最近の事例では、フットサル・テニスなどを導入しました。今後は、ランニングトラック、3on3のコートなど、様々なアミューズサービスを予定しています。「スポーツをアミューズメント感覚で楽しんでいただきながら、人々を健康にする」という理念は変わりませんが、それを実現させる手法は、その時代によって変えていかなくてはなりません。そのために、事業を永続させるための価格設定・収益モデルを組んでいるのです。

──FC加盟を検討するホール企業もあると思います。
中森 実際、かつてパチンコホールとして営業していた施設を「FIT‐EASY」としてリニューアルした店舗もありますが、弊社との相性は非常に良いと感じています。アミューズメントという共通項だけではなく、「地域密着」という点でも理念を共有できる企業様が多い。私たちの思想、理念に賛同していただき、事業に対する可能性を感じていただいた方がいらしたら、ビジネスモデルには自信があるので、そこは任せていただければと思っております。我々は今年、トヨタ自動車と多様な分野でアライアンスを組むなど、多くの業界とパートナーシップを組み、日本の健康面をサポートしていきますので、パチンコホール様でも賛同していただける企業様と一緒に進んでいければと思っております。

※『月刊アミューズメントジャパン』2024年2月号に掲載した記事を転載しました。

文=アミューズメントジャパン編集部

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