日電協新理事長・小林友也氏インタビュー
遊技通信2023年7月6日
多種多様な遊技機を開発できる環境を整備
6月8日に開催された日本電動式遊技機工業協同組合(日電協)の通常総会で、2期4年にわたって理事長を務めた兼次民喜氏が勇退し、新理事長に小林友也氏が選出された。しばらく苦戦が続いたパチスロ市場も6.5号機やスマートパチスロ(スマスロ)の登場でようやく光明がみえてきたが、今後のパチスロ市場の展望について小林新理事長に聞いた。
ー役員改選では副理事長に里見治紀氏、大泉秀治氏、信田裕一郎氏、監事に佐野詳一氏と若手が就任し、執行部の若返りが図られました。次世代の組合運営を担う若手に期待されるところをお聞かせください。
小林 年齢が若くても業界をよく知っている方々ですので、これから様々な体験をしてもらい、私も一緒になって今後の日電協を考えていければと思っています。私自身はこれまで日電協で総務や健全化推進の施策を主に担当してきましたが、技術的な部分など若手の役員が先頭に立って現実的な取組みが推進されることを期待しています。
ーパチスロ市場の回復傾向が確実になっている一方で、保通協の適合率は依然として厳しい水準のまま推移しています。日電協が担える部分として打開策はありますか?
小林 適合率については厳しい問題です。適合率は機械性能と密接に関わる部分なので組合として打開策を明示することはできませんが、改正規則施行後から日電協では不適合に関して原因分析を行っています。AT機は1600G試射試験における不適合が7〜8割を占め、ノーマルタイプはシミュレーション試験での不適合が大半を占めていますが、組合員への要因分析の開示で適合率向上の一助になればと考えています。
ー総会時の挨拶で小林理事長は、ノーマルタイプのようなシンプルで遊びやすい、適度な射幸性を持ったパチスロを提供していくことが必要だと強調されていました。パチスロ市場におけるノーマルタイプの台数や割合はどれぐらいが理想的だとお考えですか?
小林 早急に対処すべき課題は既存ユーザーの減少を食い止めること、スリープユーザーをホールに呼び戻すことです。パチスロユーザー調査によると、遊技頻度が減っている理由ついては「勝ちにくい」という意見が4割以上で最も多く、次に「遊ぶのに時間がかかる」という意見が多い。こうした結果を踏まえるとノーマルタイプは、勝ちやすく時間がかからない遊技である一方、ボーナスの獲得枚数に不満を感じているユーザー層が多いのも実情です。出玉性能を優先するコアユーザーはAT機への支持が高いと思いますが、結果的に遊技人口が減っているのだとしたら、コアユーザーだけを狙うことは非常に危険な選択です。そこで、業界のためにも多種多様な遊技機を開発できる環境を整備し、適度な射幸性と遊技性で多様なラインナップをリリースしていければ、ホール様も地域の特性に合ったオペレーションが可能になって、ユーザーの増加にもつながるはずです。
ースリープユーザーの呼び戻しや新規ユーザーの開拓は、業界の喫緊の課題です。日電協ではパチスロの最新情報を発信する「パチスロサミットONLINE」を運営していますが、遊技人口の増加に向けた取組みとして現時点で予定している企画やイベントなどの素案などがありましたら教えてください。
小林 すでに6月7日に「パチスロサミットONLINE」のリニューアルを図りましたが、既存ユーザーからスリープユーザー、新規ファンとの輪を広げるために、参加型の施策を夏以降に展開していく予定です。これは日工組が中心となって運営している「KIBUN PACHI-PACHI委員会」への協賛企画となっておりまして、日工組が5月と6月に実施した上野ショールーム試打会のパチスロ版を秋頃に開催する予定です。こうしたイベントは、業界全体で取組む遊技人口増加に向けたプロモーション活動の一環と考えておりまして、フジテレビの大型イベント「お台場冒険王」には日電協組合員も多数出展する予定です。また、10月21日には2019年以来となる「パチスロサミット」をベルサール秋葉原で開催し、その後に続く日工組の「みんなのパチンコフェス」、全日遊連の「ファン感謝デー」への道筋を作っていきます。
ー現在業界団体が積極的に進めている政治活動について、日電協としてどのようなお考えをお持ちでしょうか。
小林 政治活動については積極的に行っていこうと考えています。こうした活動を通じて行政との信頼関係をより一層強くしていければと思います。この活動に注力していた兼次前理事長は今後も相談役として日電協に残ってくださるので、アドバイスを頂きながらこの取組みについても引き継いでいきます。また、新型コロナが5類に移行したので、今期は社会貢献活動についても積極的に取組む予定です。
ー日電協では、組合員の相互扶助の精神に基づいて積極的な社会貢献活動を展開していますが、継続して実施するアクションやイベントなどがあればその意義と合わせてお聞かせください。
小林 日電協は東日本大震災の時に被災地支援を展開しましたが、私たちの業界は、常に多様化している社会と共生していく必要があると考えています。東日本大震災の時に行った物資寄贈や「富岡町復興応援ソングプロジェクト」は、目に見える支援として今を生きる人たちに寄り添うことを目的として実施しました。その延長線として、2018年以降、パラ陸上選手への応援を続けています。今年は7月にフランスパリで開催される世界パラ陸上に、走り幅跳びの中西真也選手、車いす陸上の駒智樹選手が出場します。この大会は、2024年に開催されるパラリンピックの前哨戦で、優秀な成績であればパラリンピックに出場内定できます。ぜひ頑張ってほしいと思っていますし、同じ年には神戸で開催される世界パラ陸上もあるので、日電協としてこれからも精一杯、応援を続けていきたいと考えています。
小林友也理事長プロフィール
株式会社北電子代表取締役社長
昭和33年5月14日生まれ(66歳)
東海大学工学部電気電子工学科卒業
日電協における役員経歴
平成8年5月21日 監事就任
平成17年5月30日 副理事長就任
令和元年6月14日 筆頭副理事長就任
令和5年6月8日 理事長就任