他業種が交流深める企業eスポーツ大会
アミューズメントジャパン2023年2月24日
2月17日、東京タワー内の新体験テーマパーク『RED° TOKYO TOWER』でオフラインイベント「cogme cup EXTRA in RED° TOKYO TOWER」が開催。社内eスポーツ部を設立した企業のプレゼンや全世界で人気のバトルロワイヤルゲーム『Apex Legends』の企業対抗戦などが行われた。
三瀬CEOインタビュー「ゲームが会社の共通言語に」はこちらから
主催は社会人ゲーマー向けのゲームマッチングアプリ「cogme」の運営、社内のコミュニケーション不足をゲームで解消する企画提案・実施など、企業eスポーツ部を推進するエイプリルナイツ(東京都江東区)。初のオフライン開催となる『cogme cup』は計6回目を数えるイベントで、当日はスポンサー、大会出場選手、登壇者含む80社・171人が参加した。
同イベントは4部構成で行われた。第1部では異業種交流会として、企業eスポーツ部を持つ企業同士やeスポーツチーム、ゲーム関連製品を扱う企業などが顔合わせする場を提供。名刺交換から始まり、eスポーツへの想いや自社の取り組みなどを語り合った。
第2部は同社代表取締役の三瀬尚徳CEOが登壇。「さまざまな社会人ゲーマーに話を聞いたところ、社会人になると仕事の忙しさや環境の変化によって、人とのつながりが薄くなることが多いという。私たちは人とつながるためには『共通言語』『共通体験』が必要だと考えている。ゲームにはその2つの要素が含まれており、成し遂げたときの達成感、強烈な感動を伴う体験ができる。ゲームを通じて、社内外の人とのつながりを深められる」と改めて企業がeスポーツに取り組むべき理由を解説した。
また計6回目を数える大会開催の経緯については、「企業eスポーツ部が継続的に練習の成果を発表する場があれば、常にモチベーションを維持できる。『cogme cup』がその役割を担う大会になれば」と説明した。
第3部は企業eスポーツ部を設立した企業と群馬県の登壇プレゼン。ケーブルテレビ、高速インターネット接続などを提供するJCOM(東京都千代田区)は部設立に至るまでの経緯・社内での取り組み、群馬県eスポーツ・新コンテンツ創出課課長の齊藤義之氏は「eスポーツ×地域創生」をテーマにトークした。
物流から倉庫保管サービス、人材派遣まで行う大阪デリバリー(大阪市)の木田晴孝副社長は、「eスポーツ×採用について」をテーマにプレゼン。同社は2019年に実業団としてeスポーツチームを設立し、それを強みの一つとして採用活動を行っている。「物流という職業柄、大卒採用が難しく、毎年新卒の高校生にアプローチしていた。19年の採用人数は9人だったが、チーム設立後の20年は23人、21年には35人と採用数が増加。一つの高校に届く求人は約2000件で、これまで弊社は2000社あるうちの1社との位置づけだったが、現在は変わり種の中小企業として先生や生徒の目に留まるようになった」とeスポーツチーム設立が採用率アップにつながったと話す。
大阪デリバリー取材記事「eスポーツに本気でチャレンジ」はこちらから
第4部は人気のバトロワゲーム『Apex Legends』の企業対抗戦。オフラインで8チーム、オンラインで12チームの全20チーム、21の企業・団体が参加した。熱戦の様子はYouTubeで生配信。見事、優勝を果たしたのは富士通のeスポーツ部「FJeSports」だった。チームリーダーのf1aqua選手は勝利チームインタビューで「富士通eスポーツ部の部員数は500人を超えるほど、大きくなっています。今後は『Apex Legends』だけでなく、他のジャンルでも活躍したいと思っているので引き続き応援をお願いします。また次回開催の『cogme cup』でも優勝を目指しているので、対戦のほど宜しくお願いします」と語った。
終始盛り上がりをみせた大会も大きなトラブルなく幕を閉じた。「cogme cup」初のオフラインイベント開催の感想を三瀬CEOに聞いた。
「eスポーツシーンの本流であるプロシーンやストリーマーイベントでないにも関わらず、たくさんの方々に情報を届けることができたのは大きな意義があると思う。また、当日スタッフとして働いていた弊社メンバーの大半は、イベントを行う事業部所属ではなく、普段はエンジニアやクリエイターとして活躍しているゲーマー社員たち。会社としても新たな挑戦の機会を用意できたことは非常に有意義で、普段は違うプロジェクトで働くメンバー同士がイベントで協力する姿を見て『本当にやってよかった』と実感した」
また今後の目標については「まずはcogme cupをパワーアップして継続したい。今回興味を持っていただいた企業様から、既にいくつかご相談をいただいている。まだまだ発展途上なコンテンツなので、色々な形で関わっていただけるよう準備を進めていく。また今後の事業の核となる企業eスポーツの祭典については、たくさんの方々の支えなくして実現できないプロジェクト。こちらも『cogme cup』同様に、さまざまな企業様と一緒に大人が真剣にゲームへ取り組める場を作ることを使命に取り組んでいきたい」とコメントしている。
部の設立によって、社内コミュニケーションからビジネスチャンスにもつながる企業eスポーツ。今後の動向にも注目していきたい。