パチンコホール企業が過去10年で半減 長期的な淘汰の流れ続く
グリーンべると2025年6月13日
帝国データバンクはこのほど、「パチンコホール経営法人の実態調査(2024年)」を公表した。これによると、2024年時点でのパチンコホール企業(同社のデータベースに登録のあるホール企業数)は1,201社となり、前年比10.1%減の135社減少。2015年比では実に54.1%減となるなど、長期的な淘汰の流れが続いていることが明らかになった。一方で、業界全体の総売上高は11兆7,133億円と、前年比5.0%増と回復傾向を示し、過去10年間で初めて前年を上回った。
背景には、コロナ禍以降の来客数回復に加え、2022年に登場した「スマートパチスロ(スマスロ)」の影響が大きいとされる。従来のメダルを用いないスマスロは、かつてのヒットシリーズの復刻機種を中心に遊技層を呼び戻し、出玉性能や演出面での強化が支持を集めている。
損益が判明している445社を対象とした分析では、黒字企業の割合が64.5%に達し、2年連続で黒字企業が過半数を占めた。コロナ禍で業績が急落した2021年と比べて回復が進む一方で、2020年の黒字企業割合(72.9%)には届かず、依然として業界の厳しさは続いている。中小規模の法人を中心に赤字が残る構造も見受けられる。
一方、2024年の倒産件数は23件と、前年(24件)から微減。過去には30件を超える年もあったが、近年は廃業やM&Aによる市場再編が進み、倒産は一定の落ち着きを見せている。2025年も5月末時点で6件にとどまっており、淘汰が穏やかに進行している実態が浮かび上がった。
長期にわたり進行してきたファン離れに対し、業界ではさまざまな施策が打たれてきた。2024年は人気機種の登場をきっかけに一部のファンがホールへ戻る動きも見られたが、業界全体としての再興には至っていない。出玉への不満が集客の障壁となっている現状を踏まえ、今後はホール単体ではなく、メーカー・ホール・プレイヤーが一体となった「三方よし」の関係構築が求められる。特に中小ホールにとっては、いかに競争力を高めて集客を図るかが喫緊の課題となっている。