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余暇進秋季セミナーにおける警察庁生活安全局保安課課長補佐 講話全文 遊技通信2024年11月27日

余暇環境整備推進協議会(余暇進)が11月26日に開催した令和6年度秋季セミナーで、警察庁生活安全局保安課の兼松泰課長補佐が行政講話を行った。

(以下、講話全文)

本日、一般社団法人余暇環境整備推進協議会の令和6年度秋季セミナーが、昨年に引き続き、開催されましたことを、まずもって心からお慶び申し上げます。そして、皆様方におかれましては、平素から警察行政の各般にわたり深い御理解と御協力を賜っておりますことに対しまして、この場をお借りしてお礼申し上げます。

本日は、せっかくの機会ですので、ぱちんこ営業の健全化を推進する上で特に重要であると考えていることについて、何点かお話をさせていただきます。

1点目は、業界の自主的な健全化の取組の推進についてです。

皆様には業界の健全化に向けてこれまでも様々な取組を進めていただいてきたところ、今回は特に、昨年以降策定したガイドラインについて述べたいと思います。

現在、業界においては、昨年以降策定した各種ガイドラインについて、その遵守が徹底されるよう取り組むとともに、随時問題点等を検証しながら、一部ガイドラインの内容の改訂及びQ&Aの策定に向けた作業を進めていただいていると承知しています。

しかし、こうした取組にもかかわらず、業界の是正勧告事例集等を見ると、ガイドラインの趣旨を理解していないと思われるものや、ガイドラインの潜脱を試みる行為が行われている状況が見受けられます。こうした状況が続くこととなればガイドラインによる業界の自主規制という仕組みそのものに疑問が抱かれることとなり、業界全体にとってもマイナスになることが懸念されます。

各種ガイドラインについては、業界における自主規制として、業界内でしっかりと遵守することは当然ながら、ガイドラインに従わない店舗等があればそれをきっちり把握し、そのような店舗に対して、業界内における自浄機能を発揮した対応をしていただくことが重要であり、こうした点について、内外から高い関心が寄せられている状況にあると考えております。

すなわち、こうした自主的な取組が機能することによって、業界全体の健全化が高まり、業界に対する世間のイメージも高まることにつながるものと考えております。

引き続き、業界においては、各種法令やガイドラインの趣旨を十分に理解し、業界にとって中長期的にプラスになるのかを考えた上で、ガイドラインの遵守の促進も含め、業界の健全化に向けた取組を推進していただくようお願いいたします。

2点目は、ぱちんこへののめり込みや依存防止対策についてです。

ギャンブル等依存症に係る問題については、オンラインカジノを巡る問題も含め、引き続き重大な課題となっております。ぱちんこ営業については、これらのギャンブルとは異なるものではありますが、他の業種と比べてもその規模が大きく、厚生労働省が発表した「ギャンブル障害及びギャンブル関連問題実態調査」においても、ギャンブル等依存が疑われる人が、過去1年間で最もお金を使ったギャンブル等の種類としてぱちんこ・パチスロが、1、2番目に高い割合を占めるとの結果も出ています。現行のギャンブル等依存症対策推進基本計画については、その対象期間が今年度までとなっており、現在、変更に向けた作業が進められているところですが、今後、その公表に併せて、更に世間においてギャンブル等依存症対策がクローズアップされることが予想されます。

そこで、基本計画の施策に関連して、具体的に何点かお話しします。
まず、自己申告・家族申告プログラムの運用改善と利用促進に向けた広報の強化についてです。

自己申告・家族申告プログラムについては、本年8月末現在で約6,000店舗で導入されており、導入店舗数自体は着実に増加しており、業界の取組が結果を出していると考えています。他方で、同プログラムの利用者数は伸び悩んでいる状況にあり、特に直接店舗に来店する機会のない申告者の家族等の利用をいかに増やすかが課題となっていることから、業界においては、更なる利用者の拡大に向けた取組についての検討をお願いいたします。

また、チェーン店等への一括申請について、各店舗をまたいで申告者の遊技情報等について適切な情報共有が必ずしもなされていない現状にあると承知しております。同プログラムの実効性の確保のためには、店舗間の適切な情報共有が必要であるところ、改めて各店舗に対して同プログラムの確実な運用の働き掛けをお願いいたします。

業界において、基本計画に基づく取組を着実に推進していただいていることは承知しておりますが、ぱちんこへののめり込み・依存で困っている方やその御家族に寄り添えるよう、巨大な市場規模・多くの利用者を抱える業界の責務として、自己申告・家族申告プログラムの充実・強化や各種依存症対策を踏まえた広告・啓発の推進など、各種施策への積極的な取組をお願いいたします。

次に、業界の取組に係る第三者機関の活用についてです。

ぱちんこののめり込み・依存防止対策について第三者の視点を取り入れることは、その実効性確保の観点から重要であります。これまでも、業界においては、パチンコ・パチスロ産業依存対策有識者会議による評価・提言を踏まえ、取組の改善を図ってきたものと承知しておりますが、引き続き、評価・提言を真摯に受け止め、積極的に対応していただくようお願いいたします。

また、一般社団法人遊技産業健全化推進機構による各店舗に対するのめり込み・依存防止対策の取組状況の点検・確認について、令和6年9月までに全国すべての店舗に対する立入り検査が実施されており、既に2巡目の立入調査が行われています。また、2巡目の立入調査からは、1巡目の結果との比較を行いながら実施するとともに、取組が不十分な店舗に対しては、必要に応じて店舗関係者からヒアリングを行うなどして、改善に向けた取組を行っていくことと聞いております。機構による実施状況報告書については、都道府県ごとにその取組の実施状況を詳細に分析し、業界等へ提供されることとなっており、これを活用し、取組が不十分な都道府県に対する働き掛けをしていくことが、業界全体の取組の底上げにつながると思われます。引き続き、これらの第三者機

関によるチェック機能を有効に活用し、ぱちんこへののめり込み・依存防止対策の推進をお願いいたします。

次に、のめり込み・依存防止対策に係る地域連携体制の強化についてです。業界においては、各自治体が主催する依存防止対策に関する連携会議に積極的に参画するとともに、都道府県等主催のセミナー等への参画や保健所及び精神保健センター等との連携を図り、広報物を作成するなど、積極的に依存問題に関する広報啓発活動に取り組んでいるものと承知しております。依存防止対策については、業界だけでなく、各関係機関との円滑な連携を確保するとともに、地域における連携の強化が重要であることから、引き続き各種取組の推進・改善をお願いいたします。

3点目は、ぱちんこ営業に関する不正防止対策についてです。

遊技機の不正改造事犯や賞品買取事犯については、近年も発生しているところ、これらの事犯は、型式試験による射幸性の適正管理を侵害する事犯であるほか、賭博との一線を画す上での根幹となる規制に違反する事犯であることから、警察としては、引き続き、これらの事犯には厳正に対処していく方針です。

皆様方におかれましては、機会があるごとに全国の会員に対する各種指導の徹底に努めていただき、業界全体を挙げて、これらの事犯の根絶に向けた取組を推進していただくことを期待しております。

このほか、悪質巧妙化している電子的な不正改造に対処するためには、ぱちんこ営業者と製造業者の垣根を取り払い、事案の情報共有を行った上で、効果的な施策を講ずることが重要であります。この点、特定の機種について電子的な不正改造が行われた事案が複数確認されたと承知しておりますところ、このような事案に対してどのように対応するかについては、業界全体の姿勢が問われることから、ぱちんこ営業者、製造業者及び販売会社が連携して必要な調査を行うなど、問題の把握・解消、更なる問題の未然防止に努めるようお願いいたします。

この点、遊技産業健全化推進機構の活動は、業界の健全化に欠かせないものであります。機構は、活動開始以来、立入検査店舗数は本年6月末までで約3万8,000店舗、検査台数も約27万台となっており、精力的に活動を続けています。警察としては、今後とも、機構と積極的に連携しつつ、不正改造事案に対しては、厳正な取締り等を推進していくこととしているところ、機構はこのような点も含め様々な面で業界の健全化に貢献していることから、引き続き、業界全体で機構の活動への協力・支援をお願いいたします。

4点目は、遊技機の流通における業務の健全化についてです。

遊技機の流通過程において型式の同一性が担保されるよう、中古遊技機については、中古機流通制度に基づく取組が実施され、新台設置や部品交換については、「製造業者遊技機流通健全化要綱」等に基づく制度の定着が進む中で大きな事案が発生していないことは承知しております。一方、遊技機の部品を正規の部品以外に無承認で変更する事案等は引き続き発生しております。今一度、製造業者、販売業者等の遊技機の流通に携わる関係者においては、それぞれの場面で適切な点検確認等を実施していただき、部品取りを含む不正な行為が発生しないこと、そして、型式の同一性が保たれていることをしっかりと担保していただく必要があります。特に、製造業者等が作成する「保証書」については、製造業者等が、設置確認や点検確認をする前提のもと、遊技機の型式の同一性を疎明する書類として認められているものであり、これらの確認や保証書の作成が不適切に行われたり、遊技機の流通に関する制度が形骸化することがないよう、引き続き不正防止に対する取組を継続していただくとともに、不正が疑われる事案が発生した場合には、速やかな原因の究明・再発防止策の検討をお願いいたします。

最後に、業界の社会的地位の向上のための取組についてです。

業界においては、社会貢献活動の一環として、防災や災害対応のための取組、社会福祉施設への支援、地域の清掃活動等の地域に根ざした活動を多岐に渡って展開しているものと承知しております。こうした活動は、業界の社会的地位の向上に重要であると考えておりますので、引き続きの取組を期待しております。また、貴協議会においては、遊技機部材のリサイクルに対する理解促進に関して、業界をリードされており、このような環境に配慮した取組も社会的地位の向上の観点から重要であると考えております。

以上、ぱちんこ営業の健全化を推進する上で特に重要であると考えていることについてお話ししました。

業界においては、各種課題が山積しているものと承知しておりますが、こうした課題の一つ一つに真摯に向き合い、業界が一丸となって対応していただくことを期待しております。警察といたしましても、引き続き、業界の意見や要望に真摯に耳を傾けながら、こうした課題の解消に向けた業界の取組をしっかりと支援していきたいと思っております。

結びに、貴協議会のますますの御発展と皆様方の御健勝、御多幸を祈念して、私の話を終わります。

警察庁生活安全局保安課

課長補佐 兼松 泰

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