23年の市場規模は15.7兆円|ダイコク電機「DK-SIS白書2024年版」
アミューズメントジャパン2024年7月12日
ダイコク電機は7月11日、都内の東京ドームホテルで「DK-SIS白書2024年版」の刊行に伴う記者発表会を開催した。今回で21冊目を数えるDK-SIS白書には、2023年の年間データが記されている。
DK-SIS会員のデータを基に推測されたパチンコホール全店の総売上は15.7兆円だった。前年比1.1兆円増。内訳はパチンコによるものが8.2兆円(同0.6兆円減)で、パチスロによるものが7.5兆円(同1.7兆円増)だった。
総粗利は2.54兆円(同0.16兆円増)と推測された。パチンコが1.44兆円(同0.08兆円減)、パチスロが1.10兆円(同0.24兆円増)。遊技機総台数が前年から同13万8793台減少する中で(警察庁発表)、ホールの売上と粗利はともに増加した。ホールの売上規模が増加に転じるのは11年ぶり。
MG推進部プロフェッショナル・首席講師の片瀬宏之氏は、スマスロがけん引したことでパチスロの業績が大幅に回復したことや、4円パチンコのアウトが過去最低を記録したことなどに焦点を当て、白書の概要を説明した。
低貸しを含むパチンコ1台当たりの日間平均売上は1万4919円で、前年比285円減少した。粗利は2479円(同15円増)。同パチスロの日間平均売上は1万9254円で、同5080円増。粗利は659円増の2652円だった。
片瀬氏は「パチスロは過去最低だった22年の業績から、たった1年で大きくジャンプアップ。過去20年で最大の上昇率だ。スマスロAT機を中心に物凄い絶好調ぶり」と解説した上で、貢献度の高いパチスロ台数シェアが4割程度に留まっていることを指摘。「売れない商品を多く取りそろえる店は儲からない店の典型。パチンコをパチスロに入れ替える動きは今後も続くだろう」と述べた。
対して4円パチンコの業績は低迷が続く。アウトはコロナ禍中を下回る1万910個。過去最低を大きく更新した。「24年上半期(1月から6月まで)のアウトはさらに落ち込んでいる。下期が上期を上回ることは10年に1回程度。このままでは過去最低をまた更新するだろう」と予測した。
片瀬氏はアウトが伸びない理由として、遊技客が負担と捉える遊技時間粗利の高騰を挙げた。20年に1140円だった遊技時間粗利は21年に1240円、22年に1320円、23年に1440円、24年上期に1470円と右肩上がりが続く。
「これまでは出玉性能が低いパチスロ6号機と比べて、パチンコのほうが面白かったから、遊技時間粗利が上がってもアウトがあった。だから私は、ファンがパチンコを面白いねと言っている間に遊技時間粗利を抑えて、パチンコファンを定着させましょうと警鐘を鳴らしてきた」と振り返り、搾取を続けたツケが今になって現れたと表現した。
対策としては、「ラッキートリガー搭載機に見られるように、ファンの遊技意欲があるときに遊技時間粗利を改善しないと、パチンコの回復は見られない。全部が全部甘く使うのではなく1台でも2台でも活用を変えて、3年くらいかけてコツコツ取り掛かるしかない」と述べ、今年2月のセミナーで説いた「チャレンジ2026」を実践するように提案した。
栢森雅勝社長は「2023年を振り返るといろいろな変化が形づくられた年かなと思います。人気を得たスマートパチスロが台数を拡大。大きく花開いた印象があります。では一歩引いて全体の動きをみると、どういう変化が起きていたのか。DK-SIS白書を刊行する目的は単なる記録ではなく、前年データの変化・動きを捉えて、今後に生かしてもらうことにあります」とあいさつした。
2004年に創刊されたDK-SIS白書は、市場にある約141万台分の遊技機データを捕捉している。カバー率は総設置台数の約41.1%。
文=アミューズメントジャパン編集部