50周年に「EVOALL」発表|マースエンジニアリング
アミューズメントジャパン2024年7月4日
マースエンジニアリングは7月2日、東京・新宿の本社ビルで新製品の発表展示会とマースセミナーを開催した。
今年9月に創立50周年の節目を迎える同社。発表された新製品はこれまで以上に、利便性、効率化、省力化に資するトータルソリューションだった。
翌日を含む2日間の日程で開催された東京会場では、初回セミナーの冒頭に江藤征弘社長が登壇した。江藤社長はコロナ禍前から、「次のステップに進まなければならない」という気概を持っていたことを明かし、製品開発に明け暮れていたことを回顧。5年ぶりに開催した本発表展示会で、新システム「EVOALL」(エヴォール)シリーズを発表した。
EVOALLは、「EVOLUTION ALL IN ONE SYSTEM」を起源とする造語。利便性、効率化、省力化を追求し、パチンコホールの売上と利益を最大化させるトータルソリューションを指す。江藤社長は「(本日ご覧いただく新製品は)まだ序章に過ぎない。今後はこのシリーズを育てあげ、お客様の声を具現化していきたい」と将来的に発展させる構想を示した。
展示会場では、エヴォールを冠する五つの新製品以外にも、時代のニーズを捉えた先端技術を参考出品した。新製品の一つ目は、『エヴォールクラウド』。従来の『総合管理システムV2』をクラウド仕様に進化させた。
特筆すべきは、標準搭載のAI機能を用いた「ワンクリックシミュレーション機能」だ。目標粗利を入力すると、AIが翌日の稼働を予測。機種別の全台シミュレーションを実行する。このほかの「新台評価」、「会員アナライズレポート」、「撤去・増台候補」も高機能だ。
二つ目は『エヴォールセーフティサポートサービス』。データのバックアップや内部不正の抑止・発見、機器トラブルの監視に留まらず、リモートによるメンテナンスやバージョンアップが可能。不明点は専門スタッフがカメラ越しに即時対応する。
三つ目は『エヴォールスマートユニット』。液晶部が水平方向に180度転回する幅40ミリのスマパチ・スマスロ専用ユニットだ。右置きも左置きも可。P⇔S変更した場合でも、工事の必要がない。遊技台を開けずにユニットを引き出せる電子ロックも実装した。
四つ目は『エヴォールスマートセルフ交換機』。景品交換からカード残高の精算まで、1台で完結できる業界初のシステムだ。モデルチェンジした『エヴォールPOSシステム』や『エヴォールカードリーダー』と連携するうえ、PS専用景品の払い出しにも対応する。
五つ目は『エヴォール接客サポートシステム』。新機能の「グループランク通知機能」は、会員の来店回数を自店だけでなく、グループ店にまで広げてカウント。ドミナント展開する場合に、グループとしての優良顧客を発見できる。
連動する『エヴォールスマートウォッチ』には、「MY顧客管理機能」を実装した。スタッフはウォッチで任意の顧客をお気に入り登録。稼働台番号から顧客カルテを参照できる。
参考出品された製品にも人だかりができた。キャッシュレスシステム「MarsPay」(マースペイ)は、同アプリをインストールしたスマホがあれば、財布要らずで遊技が可能になる。このほか会員カード不要で景品交換できる「顔認証システム」も注目を集めた。景品交換以外にも申告プログラムの来店制限などに活用できる。
この催しは東京会場を皮切りに、名古屋(7月5日)、大阪(9日)、福岡(12日)でも行われる。
文=アミューズメントジャパン編集部
マースセミナーでは、営業企画部販売促進グループの山本貴大氏が講師を務めた。マース戦略データ(MSD)では一般的な台データに加えて、遊技客一人当たりの遊技データ(PL指標。客層データ)を用いてさまざまな分析を行っている。
例えば20円パチスロのアウト(24年5月)は、前年同月比3.2%増。売上も5.3%増と好意的に捉えられる。しかしPLアウトで見ると、それぞれ5.5%減、3.4%減と、異なる景色が見えてくる。
こうした中で山本氏は、一人当たりの遊技時間が低下傾向にあることや、コイン単価が高い機種の選び方には注意が必要であることを指摘。他方パチンコでは、ラッキートリガー搭載機を好む層の特徴を解説し、そうでない層への訴求が鍵になると力説した。