「風前の灯火」の状態にある日本の統合型リゾート(IR)
アミューズメントジャパン2024年2月19日
観光庁は昨年12月27日、長崎県から申請が行われていた統合型リゾート(IR)計画について「要求基準に適合しない」ことを理由に不認定とするとの発表を行った。長崎県のIR計画は2022年4月に長崎県から国へと申請が行われ、長らく継続審査が続いていたもの。同じ時期に申請が行われた大阪の計画は昨年4月に国からの認定がなされたが、長崎県の計画は「丁寧かつ十分な審査が必要」との説明で審査継続とされてきた。
実は長崎県では、2018年から昨年7月まで副知事を務めた平田研氏、そしてその後任として副知事に就任した馬場裕子氏と、長らく国交省出身者を副知事に採用してきた(なお平田研氏は副知事退任後、大臣官房総括審議官として国交省に復帰)。県は、これら国交省出身の副知事らをIR計画策定の実質的なトップとして据え、出身官庁との万全のコミュニケーション体制を構築してきたと「思い込んできた」だけに、今回の不認定のショックはひとしおだ。
結果として、2018年に成立したIR整備法に基づく我が国のIR整備は、全国で大阪・夢洲の一件のみの認定に終わった。ただし、その大阪でのIR計画すら実はまだ確定ではないことは、過去の本コラム内でも既報のとおり。大阪のIR開発を担当する米国MGMリゾーツおよび日本のオリックスらによる特別目的会社「大阪IR株式会社」は、大阪市と昨年9月に締結した実施協定において、2026年9月までの「特定条件下での」協定解除権を保持している。
協定解除権は、未だ不透明なIRの開発・運営環境を理由として事業者が行政側に求め、「押し切られた」形で定まった条項だが、その中でも特に懸念されているのが開発投資額に関する解除条件だ。>>>>>>記事全文は月刊アミューズメントジャパン 2024年3月号でお読みいただけます。