矢野経済研究所がホール経営企業の売上・利益動向を発表、黒字転換も本格的な回復には至らず
遊技通信2023年1月26日
矢野経済研究所は1月19日、パチンコホール経営企業の売上・利益動向調査(2022年)の結果を発表。ホール経営企業123社の決算情報から主要指標の平均値を算出して売上・利益動向を明らかにし、2021年度決算平均は黒字転換したが本格的な回復には至らなかったとした。
この調査は、同社の『YANOパチンコデータベース』に収録される全国のホール経営企業2,078社から、企業規模を考慮して任意に123社を抽出。その内訳は大手企業(20店舗以上経営)7社、準大手企業(10〜19店舗経営)26社、中堅企業(4〜9店舗経営)37社、小規模企業(1〜3店舗経営)53社の計123社で、マルハン、ダイナム、アンダーツリー、ガイア、NEXUS、ニラクなど事業規模が突出している企業および経営店舗数の拡大が著しい企業については集計対象から除外した。
調査結果によると、2021年度の売上高平均が147億5,800万円に対し、売上原価平均125億6,600万円(構成比85.1%)、販売管理費平均21億3,100万円(同14.4%)、営業利益平均6,100万円(同0.4%)となった。各指標を前年度と比較すると、売上高は0.7%減少したものの売上原価が1.1%減少したことで、売上総利益は1.7%増加。販売管理費も前年度比2.8%減と圧縮が進んで営業利益は前年度の赤字から黒字転換を果たしたが、営業利益率は0.4%と依然として低水準にあるとしている。
売上高については、コロナ禍が大きく影響した2020年度は前年度比25.4%減と大幅に落ち込んだが、2021年度は行動制限が緩和されつつあった中でも前年度比0.7%減と回復には至らなかったとし、新規則機への移行が最終段階を迎えてファンの支持が高かった旧規則機が多く撤去されたことも、売上高の回復を妨げる要因になったものと考えられると分析した。
売上総利益は、前年度比1.7%増の21億9,200円。売上高は減少したものの売上原価の構成比が低下したことで、売上総利益の構成比は14.9%と前年度から0.4ポイント上昇し、売上高が伸び悩む中で売上総利益を確保するため売上原価の圧縮が進んだことがみてとれる。
販売管理費は、前年度比で2.8%減少したが、2020年度から売上高が大きく落ち込んだことで相対的な販売管理費の構成比は高止まりしており、同社では「過去の同様な調査によると、販売管理費の構成比は2008年度を境に10%を超えていて、パチンコホール経営企業の経営を圧迫してきた。2018年2月の遊技機規則改正を受け、パチンコホールは2022年1月末までに店内にある旧規則機を撤去して新規則機に置き換えたが、これに伴う新規則機の購入費用も大きな負担となった。2022年度以降については、スマート遊技機(スマートパチンコ・スマートパチスロ)および付随する機器の導入費用や電気料金の高騰などが販売管理費の増加に繋がる可能性がある」と分析している。
営業利益については、赤字に転落した2020年度に対し、2021年度は売上原価と販売管理費の削減が進んだことで6,100万円の黒字転換を果たしたが、営業利益率は0.4%と依然として低水準にあるとした。