19歳で起業し、営業支援や資金調達支援を経て㈱PROTOCOLに参画した小林寛治氏。現在はCOO(最高執行責任者)として、パチンコ業界向けの「遊技機の分割払いサービス」をはじめとするファイナンス事業を手掛ける。
19歳で起業、営業からファイナンスの世界へ
ビジネスキャリアは大学在学中の19歳で始まった。最初の立ち上げはアパレル関連事業で、その後は事業コンサルティングへ領域を広げた。自ら営業し、成果報酬型で顧客企業の売上拡大を支援する中で営業力を磨き、22歳で最初の会社を売却。約1年の会社員経験を経て再び起業した。
第2の起業では営業支援事業を手掛け、大手飲食チェーンとスタートアップ企業をつなぎ、モバイルオーダーなど新サービスの導入も支援した。しかし、将来性があっても、若い企業には事業拡大のための資金がない。
「実績がないので、融資を受けるのも簡単ではなく、資金調達そのものを支援する必要があると思ったんです」
そこで融資や補助金、エクイティ(株式を発行して資金を調達する手法)などの知識を広げ、資金調達支援事業も立ち上げた。その過程で、元プロサッカー選手で実業家の本田圭佑氏が会長を務めるPROTOCOLと出会い、2023年に参画。現在はCOOとして事業を牽引している。
遊技機の購入に「分割払い」という選択肢
同社がパチンコ業界向けに展開するのが、新台・中古機を問わず利用できる遊技機の分割払いサービスだ。ホールが「PROTOCOL登録販社」から遊技機を購入し、代金を分割で支払う一方、登録販社は納品後、同社を通じて早期に代金を受け取る。その後の分割回収は同社が担う。
分割回数は3回、4回、5回で、手数料率は5~6%。ホールは購入時の資金負担を平準化でき、手元資金や借入枠を温存できる。リースとは異なり所有権はホール側にあり、支払い途中でも売却が可能だ。
販社側も長期の売掛債権を抱えず、早期回収によるキャッシュフロー改善や販売機会の拡大につなげられる。
ただ、仕組みが形になるまでの道のりは平坦ではなかった。
「これまでいろいろな業界向けにサービスを作ってきましたが、パチンコ業界向けが一番難しかったですね」
最大の壁は手数料水準だった。他業界と同じ条件では使ってもらえず、下げれば採算とのせめぎ合いになる。着地点を探る作業が続いた。
「ビジネスパートナーの業界関係者から、毎週のように『まだ高い』『これでは業界に広がらない』と言われました。何度か、もうこのスキームは難しいかなと思いましたね(笑)」
そこで同社は、パチンコ業界特有の商流や法制度、遊技機取引の実態を改めて精査した。風適法をはじめとする関連法規への理解を深め、ホールの事業実態や本来の信用力を正しく評価できる審査体制を構築。こうした与信ノウハウの蓄積が、現在の手数料水準の実現につながっている。
小林氏にとって、パチンコ業界はもともと縁の深い世界ではなかった。だが、実際に関係者と接する中で、その印象は変わった。
「パチンコ店だけでなく、遊技機を作る会社もあれば、映像を作る会社もある。店舗の外側まで含めて、一つの大きな経済圏がある。それが面白いと思いました」
一方、遊技機購入を巡る資金調達環境は変わりつつある。手形取引が縮小する中、現金一括や銀行借入、リース以外の選択肢をどう確保するか。そこに、異業種で培ったファイナンスの仕組みを持ち込む余地があると小林氏はみる。
「少なくとも、遊技機購入時のファイナンスといったらPROTOCOL、というところまでは持っていきたいと思っています」
同社が持ち込む遊技機の「分割払いサービス」が、業界の資金調達の常識を静かに揺さぶり始めている。
株式会社PROTOCOL
【所在地】
本社/東京都港区西麻布3丁目
【設立】
2021年1月
【事業内容】
ファイナンスプラットフォームの開発・運営(株式・融資・債権の3カテゴリにわたる資金調達・財務戦略支援サービス)
【URL】
https://corp.protocol.ooo/
PROFILE●1995年9月、長野県生まれ。大学在学中の19歳でアパレル・創業支援事業を立ち上げ、その後、会社員経験を経て二度目の起業。営業・資金調達コンサルティングやPoC支援に従事し、28歳で本田圭佑氏が会長を務めるPROTOCOLに参画した。現在はCOOとして全事業を統括する傍ら、企画力を生かしてファイナンスサービスの組成・実行を手掛けている。本田圭佑氏が会長を務めるPROTOCOL。幅広い業種で企業の資金調達支援を手掛けるほか、パチンコ業界向けに遊技機の分割払いサービスを展開。遊技機分割払いサービスの取引スキーム。ホールへの遊技機の販売・契約は、事前に同プロジェクトへ参画した登録販社が担う。ホールは登録販社から新台・中古遊技機を購入し、代金をPROTOCOLへ分割で支払う。販社は納品後に代金を早期回収できるのが特徴だ。6月1日に正式スタートし、当面は登録販社20社、約500ホールを対象にサービスを展開する。


