パチンコ・パチスロ奨学金(pp奨学金)は8月17日、東京・市ヶ谷の遊技会館で記者会見を開き、7月1日付で一般社団法人から公益社団法人へ移行したことを報告するとともに、これまでの10年間の取り組みや今後の方針を説明した。「パチンコ・パチスロ」の名称を冠し、全国を対象とする公益社団法人は初めてとなる。

公益社団法人への移行は、本年7月1日付で内閣総理大臣の認定を受けたもの。同奨学金では、公益法人として社会的使命を自覚し、より一層事業に取り組んでいくとしている。

公益社団法人への移行にあたっては、公益性や事業の継続性、組織体制などについて厳格な審査を受けた。小島豊業務執行理事は、以前は事務所や専従職員を持たず外部委託を中心に運営していたが、公益法人化に向けて職員や事務所を整備し、組織体制を一から構築したと説明。選考方法や公平性についても内閣府から確認を受け、基準や運営方法を整えてきたという。

一方、公益社団法人化による大きなメリットの一つが、寄付に関する税制上の優遇措置だ。泰青業務執行理事は、これまで公益法人ではないことから大きな寄付を受けにくかったが、公益社団法人となったことで寄付者側にも税制上の優遇措置があり、企業・団体にも支援を呼び掛けやすくなったと説明した。

同奨学金は、パチンコ・パチスロ各店に設置される「募玉募金箱」に遊技客から寄付された玉やメダルを金額に換算したものを財源に、経済的に困窮している学生の支援に充てる遊技業界独自の給付型の奨学金制度。2016年2月、遊技業界有志が社会福祉法人さぽうと21の協力を得て設立。2017年に8人を対象としたパイロット給付を実施し、同年9月から一般公募を開始した。2021年7月には一般社団法人として独立し、事業を展開してきた。2025年度までに延べ282人の学生へ総額1億2,776万円を給付。応募者は延べ1,241人に上り、全国47都道府県から応募が寄せられている。2026年3月末時点の会員数は46会員(正会員33、賛助会員13)。

給付にあたっては、世帯年収だけで一律に判断するのではなく、家族構成や学費負担など個々の事情を考慮し、選考委員会が公平性を重視して給付対象者を決定している。本年度は128人の応募に対して34人を選考し、年間総額1,256万円を給付する予定だ。

会見では、pp奨学金の設立を発案した阿部恭久会長理事が、その経緯を説明した。貸与型奨学金は返済に伴う負担や運営上の課題があることから、「業界として返済不要の給付型奨学金をできないか」と考えたことが出発点だったと振り返った。

また、大学生の約半数が奨学金を利用する状況や、卒業後の返済に苦しむ学生がいることも背景にあったという。阿部会長理事は、奨学金を通じて学生を支援するとともに、将来、「自分はpp奨学金で学校を卒業した」と語ってくれる人を増やすことが、業界の社会的評価を高めることにもつながるとの思いを示した。

今後については、公益社団法人化を契機に、より多くの学生を支援できる制度へと発展させたい考え。阿部会長理事は「公益が取れたことで、多くの業界関係者の皆さんにも一層ご支援いただき、もう少し幅の広い奨学金制度ができれば」と呼び掛けた。

吹浦忠正代表理事も、応募者の多くを支援したいとの思いを示し、業界関係者だけでなく一般からも幅広く支援を募り、奨学金をさらに大きくしていきたいと強調。「清廉潔白で誠実にやっていく奨学金制度を大いに盛り上げていきたい」と、今後の発展に意欲を示した。