マカオ VIPルーム収益大幅減少しマスフロアへ
アミューズメントジャパン2024年2月1日
マカオ特別行政区政府下にあるゲーミング産業の規制監督機関The Macau Gaming Inspection and Coordination Bureau(DICJ)が公表した2023年の産業統計の詳報によると、総ゲーミング収益(GGR)は年末に大きく回復への兆しが見えている。
2023年通期のGGRは183,059millionマカオ・パタカ(約3兆3347億円)で、いまだ2019年の62.6%の水準だが、第4四半期(10月~12月)で比較すると2019年同期比75.0%、12月だけで比較すると同81.3%に迫った。
第4四半期について、ゲーム種目別のゲーミング収益を見ると、マカオのカジノ市場をけん引していた「VIP バカラ」は2019年の4割程度へと大きく落ち込んでいる。これはコロナ禍の影響というよりも、大手ジャンケットオペレーターの不祥事を機に2022年に法律が改正され、事業者の透明性を高めるために登録基準を厳格化したことによる影響が大きい。ジャンケットオペレータによる、いわゆる「VIPルーム」は廃止されたわけではないが、稼働率は大きく低下している。
一方で、マスフロアのバカラからの収益は、2019年同期を9.2%上回った。従来、ジャンケッターによってVIPルームに案内されていたプレミアム層の一部がマスフロアに移動しているためだ。マスフロアからの収益の増加は、ジャンケットオペレータを介さないことから、カジノオペレーターの利益率を改善させる効果がある。
第4四半期の「Sic Bo/大小」は19年同期比の81.0%、「スロットマシン」は76.7%だった。
カジノゲームと比較すると小さな市場ではあるが、「ポーカー(テキサスホールデム)」からの収益が大きく伸び、19年同期の約2倍(91.7%増)の215millionマカオ・パタカ(約39億1700万円)になった。
中国市場では春節(今年は2月10日から2月17日)を控えている1月の業績予想は控えめになされるが、投資銀行JP Morganの試算によると、今年1月の3週間の出だしは非常に好調で、1日当たりに換算したGGRは12月を3.3%上回っているという。業界メディア「iag」によると、アナリストらは業界全体のEBITDAは前四半期から8%から9%伸び、コロナ禍前の85%の水準に達すると予測している。
文=アミューズメントジャパン編集部