スマート遊技機が始動
アミューズメントジャパン2022年7月22日
日工組、日電協、PSA、認証協の4団体が7月19日、都内の東京ドームホテルで「スマート遊技機フォーラム」を開催。業界関係者と報道陣に向けて、スマートパチンコとスマートパチスロの概要と展望を説明した。当日の模様はオンラインで同時配信。接続数は約4000を数えた。
フォーラムは、日工組の榎本善紀理事長と日電協の兼次民喜理事長による主催者挨拶で幕を開けた。榎本理事長は「現状でもパチンコではそれなりに使えるP機が出て、パチスロでも良い6.5号機が出つつあるが、スマート遊技機ではそれよりも良いスペックを出せる。多種多様な良い機械が出ることが、離れたファンを呼び戻し、新規ファンを増やすことにつながる」と述べ、現行機よりもゲーム性が広がることを強調した。
続いて兼次理事長は、ホールの出店形態が変わることに言及。「従来機とは比較にならないほど夢が膨らむ。従来機で600台規模のホールを出店する場合、20~30億円という大きなリスクが伴った。しかし100台から120台のスマート遊技機であれば、1億円程度で駅前やショッピングセンターの一画に出店できる。2~3年もすれば、このような“コンビニパチンコ”が増えるだろう。スマート遊技機は店舗数の減少に歯止めをかける」と未来を語った。
スマート遊技機が備える遊技性や機能については、日工組の盧昇副理事長と日電協で技術委員長を務める大泉秀治理事が解説した。
盧副理事長は「スマパチでは大当たり確率の下限を350分の1にする。TS30の差は、メーカーにとって開発の自由度が広がる大きな差。当面はハイミドルの開発が先行するが、ライトミドルや甘デジにも広げていく。また通常時にc時短抽選を加えることで、パチスロAT機のCZやゲーム数管理のような仕様も可能になる。加えてMY9万5000とするコンプリート機能。この機能は今後、スマパチだけでなくP機にもつける予定だ」と述べた。
コンプリート機能は、極めて低い確率で起きる大量の払い出しを遊技機側で制限する機能。1日の出玉上限がMYとして設定され、規定値に近づいたときには遊技客に報知。規定値に達したときには遊技機が停止する。
大泉理事は、「6.5号機とスマスロの違いは、6.5号機で4000Gに拡大された有利区間が無制限になること。差枚数2400枚も引き継がれ、ファンが喜んでプレイする契機となる。必ずやホール様の経営改善の一助となる。また、高射幸性遊技機が二度と出ないように、MY1万9000枚で投入を停止させるコンプリート機能を積んだ。ファンとお店のトラブル回避のために、機種の小冊子などにもこの機能を表示する」と述べた。
スマート遊技機が拓く未来についてプレゼンしたのは、日電協の里見治紀スマスロ普及推進プロジェクトリーダー。遊技性の向上、依存対策、不正対策、省エネ、コスト削減、感染症対策、環境向上といった面からメリットを解説した。
「今は認められていない双方向通信ができれば、遊技性や没入感はさらにアップする。またブロックチェーンやNFT技術を取り入れれば、店舗運営の効率化につながり、ファンへの還元に回せる。スマート遊技機を足掛かりに、業界の再発展につながる」と語った。
フォーラムの後半では、スマート遊技機が産業の救世主になるのかをテーマとした討論会が行われた。全日遊連の阿部恭久理事長、日遊協の飯塚邦晴副会長を迎え、榎本理事長、盧副理事長、大泉理事、里見理事が意見を交わした。
阿部理事長は従業員の作業負担が軽減されること、感染症予防になること、不正行為が減ることが、ホールとしては受け入れやすいと評価する一方、「すべての遊技機が置き換わるとは思わないので、効果を感じられるのは先ではないか」とコメント。遊技機価格の配慮も求めた。
ホールの静音化を検討している飯塚副会長は、店内の音量が下がることに期待。「周辺機器の音量が下がれば、室内全体では82デシベル程度になるのでは」と述べた。
フォーラムの最後には、PSAの江口智明事務局長と認証協の小原慎事務局長が登壇。スマート遊技機に必須となる専用ユニットについて紹介した。