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【インタビュー】進化を止めない“海物語”「まだ見ぬ遊び、まだ見ぬエンタメを」/三洋物産・盧副社長 グリーンべると2021年12月27日

パチンコ不動のコンテンツといえば『海物語』。株式会社三洋物産の盧昇代表取締役副社長に20年を超える歴史を振り返ってもらうとともに、今後の開発方針や、完全新規則機時代を迎える現在の考えを聞いた。

三位一体で確立した『海物語』ブランド

──初代『海物語』の登場が1999年。ホール内で主力の座を維持し続けて、既に20年以上が経過しています。大ヒットした『CRギンギラパラダイス』の1種版として、初代『CR海物語』は1999年の導入当初から期待通りの動きを見せてくれました。当時は、ホール様を取り巻く経済情勢が今と異なり、大手ホール企業様を中心に、新規出店の展開も多かったと記憶しております。こういったタイミングの良さもあり、『海物語』というコンテンツが一気にスターダムに上りました。ユーザー様の高い支持を受け、ホール様には『海物語』を大事に運用して頂きました。まさに弊社、ホール様、ユーザー様が三位一体となって『海物語』ブランドが確立されたと考えています。

──20年以上の歴史の中で、特に思い入れのある出来事があれば教えて下さい。『CRスーパー海物語IN沖縄』など、『海物語』のサブブランド化に成功したことですね。シリーズ当初は『CR海物語』『CR新海物語』『CR大海物語』と、数年に一度、メインブランド機を発表し、ホール様も一遍に入替を行うというスタンスでした。

しかし、メインブランド機が仮に人気を得られなかった場合、その影響が非常に大きいこと、また一遍に入替することはホール様も大きな負担となります。

こういった背景もあり、2000年半ば頃ですが、私はこのままの『海物語』では、どこかで壁に当たるのではないかと想像しました。

──大躍進の中において、既に危機感が芽生えていたということですか。ヒットしたが故の苦しみと言いますか、当時の開発者は大変だったと思います。実際、開発の一部からは「『海物語』は『大海物語』が完成形です。もうこれ以上の『海物語』はありません」といった声もありました。

社内的にもこの頃はまだ、開発環境が整っているとは言い難かったです。既に一部の他メーカー様では、それまでの常識を覆すもの凄い斬新な機種が出始めていました。『海物語』に限らずですが、新しい時代の開発に対応する必要があったのです。

このような閉塞感が漂うなか、私は『海物語』の可能性はまだ十分にあると考え、このまま何もしないのも嫌だったので、『海物語』のサブブランド化の確立に向け、陣頭指揮を執ることとなりました。

変わるリスクより遥かに高い
“変わらないリスク”

──2000年代半ば以降、『海物語』は様々なサブブランド機が誕生するなど、多様化の道を歩み始めます。ここで外すことができないトピックと言えば、「カリブショック」ではないでしょうか(笑)。

まず事実として申し上げさせて頂きますと、『CRハイパー海物語INカリブ』は約37万台が出荷されました。そして、稼働貢献週は40週あったのです。ザックリ言って10ヵ月間、平均稼働を割っていなかったにも関わらず、非常に厳しい評価を受けました。如何にホール様の『海物語』に対する期待値が高かったかが窺い知れます。

同機は、世界観や演出面で様々なチャレンジを行いました。結果的に、ホール様からは駄目の烙印を押される格好となりましたが当時、社内では、挑戦したことに意義があったと受け止められました。そして三洋物産には、めげずに挑戦をし続けられる空気があり、これが弊社の良いところでもあります。

世の中、適者生存の原則がある限り、変わることのリスクより、変わらないことのリスクの方が遥かに高いと思います。私自身も全くめげませんでしたし、踏み込んだからこそ分かることも多くありました。そして、分かることがあったからこそ、その後のヒット機種の誕生に繋がったと考えております。

──今後、『海物語』シリーズ機を開発する上で、どのような点で進化を図っていくお考えでしょうか。私個人の考えですが、予定調和よりも、何が出てくるか分からない方が面白いと思います。人間、何かを好きになっても、必ず飽きてしまいます。『海物語』も例外ではありません。飽きられないよう、進化を止めることなく、まだ見ぬエンタメ、まだ見ぬ遊びを追求していきたいですね。

──反対に『海物語』のここは変えるべきではないというポイントは?基本的にはないです。『海物語』と言えば左右対称の盤面、左打ちといった印象が強いですが、一部の機種は、そうではありません。

ただし抽象的な表現となりますが、ユーザー様は新しいゲーム性やスペックを求めている一方、違和感やストレスは求めていません。ユーザー様の多くに支持されている『海物語』のフィーリングを大きく崩すこととなると、違和感やストレスが生じ、楽しくありません。そこは今後も気をつけていきたいです。

カッコいい、面白いのキッカケに

──近年『海物語』は、アイマリンプロジェクト等で、より幅広い層への認知を高めています。アイマリンプロジェクトは開始から6年以上が経過しました。デザインも楽曲も若年層が好むクリエイター陣が制作し、今は主にユーチューブ上でMV(ミュージックビデオ)を流しています。パチンコを打たない若年層にも好まれ、インターネット上で拡散が続いたこともあり、お陰様で、遊技機メーカーのユーチューブチャンネルでは驚異の再生数となる426万回の再生回数を記録したMVもあります。

──若年層からの支持を高めるというのがプロジェクトの狙いでしょうか。そうですね、『海物語』をカッコいい、面白いと思ってもらえるキッカケになればと思います。コロナ禍もあり、ユーザー様と直接、触れ合う機会は限られていますが、その分、ユーチューブを含むSNSやTV番組などを通じ、『海物語』のブランディング活動を続けていきたいと考えています。

パチンコのイメージアップが最優先

──御社の取組みが、新規ユーザーの獲得に繋がればパチンコ業界全体としても大きなメリットですね。ただし実際のところ、ノンユーザーをユーザーにするのは、そう簡単ではありません。よってアイマリンプロジェクトだけで、新規ユーザーの獲得が実現するとは全く思っていないですね。

現状、世間でのパチンコのイメージはあまり良くありません。新規ユーザーを獲得するには、絶対的にパチンコのイメージを変える必要があると思います。

──業界のイメージを良くするために必要な施策とは?近年、売上を伸ばしている中央競馬やボートレースは、イメージアップに年間で数十億円のテレビCM費用をかけていると聞いています。

これに対して、パチンコ業界はテレビCMに幾らかけていますか。業界全体ではゼロです。それでイメージを変えようというのは虫がいい話です。

パチンコ業界は、ネガティブなニュースが未だに多いため、それを上回るポジティブな要素を提供しない限り、いつまでたっても世間のイメージは良くならないでしょう。その一方、産業の規模に見合った広告宣伝やPRをすれば、パチンコってそこまで悪くはないよね、ちょっとした遊びだよねって気付いてもらえると思います。

──来年2月から完全新規則機時代を迎えます。最後にホール関係者にメッセージを。パチンコホールはコロナ禍で、ユーザー様が8割程度しか戻ってきていない状況です。これまでは、『P大工の源さん超韋駄天』のような短時間勝負に適したパチンコ機が好まれました。

今後、8割しか戻らなかった状況で、どういった遊技機がホール営業にマッチするのでしょうか。個人的には出玉スピードの早い遊技機だけが良いとは思いませんし、色んなことが考えられます。弊社としては、そこを切り拓いていきたいと考えています。

◆プロフィール
盧昇(ろ・のぼる)
㈱三洋物産・代表取締役副社長。1972年2月生まれ。慶応義塾大学卒。2002年に三洋物産に入社。2019年から現職。趣味はゴルフ。座右の銘は「今日も生涯の一日なり」。

1999年に登場した『CR海物語3R』。大ヒット機種『ギンギラパラダイス』の世界観や演出を引き継ぎ、ユーザーから大きな支持を集めた。シリーズ累計の販売台数は約90万台を記録。主力機種として長年に渡り、多くのホール営業を支えた。多くのユーザーで賑わう新規則機の海物語コーナー。時代は変われど、今後もホール営業に欠かせない。

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