ワンデーポートが社会貢献団体機構の助成事業で報告書
遊技通信2020年5月8日
横浜市瀬谷区のギャンブル依存問題における回復支援施設、ワンデーポートは、全日本社会貢献団体機構からの2019年助成金で開催したセミナーの模様などを盛り込んだ報告書を3月下旬にまとめた。セミナーはワンデーポートの考え方に共感する専門家を講師に、大阪、長野、名古屋で開催。各会場には依存問題を抱える家族や問題に携わる医療や福祉の関係者のほか、業界関係者が多数来場した。
報告書では、各会場で行った専門家による基調講演の模様を収録。大阪会場では、大阪大学大学院文学研究科講師の小西真理子氏が「共依存」の歴史や定義の変化を示たほか、精神科医で新泉こころのクリニック院長の朝倉新氏が、発達障害の視点からみたギャンブル依存に関して、オーダーメイドな対応をしていく必要性を示した。
また、長野会場では、諏訪東京理科大学応用情報工学科教授の篠原菊紀氏が「行動嗜癖の諸問題とやる気の仕組み」と題し、ギャンブル等依存症で高校の保健の授業で使うために文科省が作成した指導参考資料を引用し、その内容を批判的に解説。ギャンブリング障害は予後がよく、流動性が高いことなどを指摘し、現状の問題点を整理した。さらに、元弁護士の堀米美聡氏が司法を超えた個別的支援の必要性を語ったほか、日本自閉症協会副会長の今井忠氏が支援や介入の要点をまとめた。
名古屋会場では、東海大学健康科学部の宮永耕准教授による回復支援の歴史と課題、三重ダルクの市川岳仁代表の活動報告などがなされた。さらに報告書には、ホール企業における依存問題への取組みとして、ダイナム、ニラク、マルハンのスタッフによる講演内容も掲載されている。
ワンデーポートでは、「報告書はマスコミが伝えている考え方とは少し違う内容となっている。ギャンブル依存問題は個人差があり、こうすれば回復するという共通の答えがあるわけではない。本人も家族も支援者も考えることで、進むべき個別の道が見えてくると思う」としている。